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2010.10.20

柴田トヨ●くじけないで

20101020

*

私ね 人から

やさしさを貰ったら

心に貯金しておくの

さびしくなった時は

それを引き出して

元気になる

あなたも 今から

積んでおきなさい

年金より

いいわよ

――「貯金」

●くじけないで|柴田トヨ|飛鳥新社|ISBN9784870319929201003月|評=△

<キャッチコピー>

「人生いつだってこれから 朝はかならずやってくる」産経新聞「朝の詩」で注目を集める98歳の詩人、90 歳を過ぎて詩を書き始めた トヨさん、初の処女作品集

<memo>

1911(明治44)年生まれの一人暮らしの老女の詩集。詩というより独白にすぎないが、50万部をこえたという。劣化する読者と編集者の例。

歳をとるたびに/いろいろなものを/忘れてゆくような/気がする

人の名前/幾つもの文字/思い出の数々

それを 寂しいと/思わなくなったのは/どうしてだろう

忘れてゆくことの幸福/忘れてゆくことへの/あきらめ

ひぐらしの声が/聞こえる(「忘れる」)

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