港千尋●書物の変 ――グーグルベルグの時代
* 大英図書館の特別展示室には、この図書館が誇る貴重な資料が惜しげもなく陳列されている。 粘土板、パピルス、古今東西の経典や古地図からシェイクスピアの初版本、ダーウィンの手紙、バイロンの自筆原稿などがずらりと並ぶさまは圧巻だが、さらにはビートルズのメモなどというものまでが、ガラスのケースのなかに収められている。〔…〕 この展示室だけでも、3000年以上の年月にわたって人類が紡いできた書の歴史がある。〔…〕 それではこれらの宝物がこれから3000年後にも見ることができるかどうかとなると、どうだろうか。〔…〕 総じて大量生産を前提としている現代の書物ほど、不安定で壊れやすい物質でできている。 それなら電子化してしまえばいいという意見が出てくるのだが、 果たして現在のCD―ROMやDVDが100年後とは言わずとも、50年後に読み出すことができるかどうか。 未来のコンピューターのプログラムが2000年前の電子テキストを理解するかどうか。誰にも分からない。 |
●書物の変 ――グーグルベルグの時代|港千尋|せりか書房|ISBN:9784796702942|2010年02月|評=○
<キャッチコピー>
「書物」を「電子本」に「読者」を「ユーザー」に変えるデジタル化時代の到来は、我々の経験や記憶を根本的に変容させるのだろうか。グーテンベルグからグーグルに至る歴史を辿りながら人間の想像力と技術の未来を探究する。
<memo>
上掲のビートルズのメモとは、「まだ若き日のジョン・レノンとポール・マッカートニーが、レストランのメニューや紙ナプキンの裏に走り書きした歌詞や楽譜」である。
わが国の図書館は、新聞をマイクロフィルム化しマイクロリーダーで閲覧する方式を長年行ってきたが、たぶんPDFファイル化へ向かうのでしょうね。
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