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2010.11.11

御厨貴●権力の館を歩く

20101111

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それは小沢の水沢の実家を見れば一目瞭然だ。前庭も塀もなく目の前の道路にせり出すように建てられた家。

いずれは朽ち果てるだろう、今は機能を止めた家。ああ、小沢はいつからか故郷に背をむけたのだと分かる。

水沢は英雄の地でもある。高野長英、後藤新平、斎藤実。いずれも水沢の地から出て勇名を馳せたものの、時代に入れられることはなかった。幕府に、政党に、軍部に排斥され、故郷に戻ることなく生涯を終えた。

英雄の運命もまたかくの如し。権力の移ろいやすさ、はかなさを、地元の過去の英雄を通して、小沢は熟知しているのではないか。

だからこそ刹那であれ権力を掌握した時、小沢のつんのめるような権力行使が露わになるのだ。

そのための公的要塞たる幹事長室、そして私的要塞たる深沢自邸。この二つの権力の館に、小沢の権力観のすべてが投影されている。

政治が可能性のアートであるならば、小沢こそは建築と政治を可能性のアートにまで自覚的に広げた政治家その人に他ならない。

――「小沢一郎 深沢邸」

●権力の館を歩く|御厨貴|毎日新聞社|ISBN9784620320083201007月|評=◎おすすめ

<キャッチコピー>

建築が政治を決め、政治が建築を決める。権力者たちの住み処や国家機関の建物、政党本部ビルなど「権力の館」で交錯する時空へ身を投じ、かつてそこで営まれた政治の意思と権力者たちの本音を逆照射する。新たな視座を打ち立てる、画期的な日本政治論。

<memo>

建築物から権力者に迫る画期的なノンフィクション。著名な総理大臣に混じって唯一総理になれなかった小沢一郎が描かれている。

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