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2010.12.21

小谷野敦●現代文学論争

20101221

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しかし結局私は、沈黙を守る人間というのが根深いところで嫌いなのであろう。これは何も日本的特質ではないことは、「沈黙は金」というのが古代ローマの格言にあることからも分かる。

むろん、沈黙しなければならない理由がある場合は別だが、ちっともそういう場合ではなくて、公的なことがらで自分に向かって議論が吹っ掛けられているのに、金持ち喧嘩せずとばかりに、沈黙を守るという、そういう人間である。

「彼はあえて反論せず、黙って耐えた」などと、あたかも美徳であるかのように書かれた文章を見ると、条件反射的に不快になるのである。

そういうのは、敵前逃亡というものである。

私は、平地に波乱を起こすように論争が好きだというわけではなくて、結局こうして、沈黙を守ることを美徳として成立する「沈黙の共同体」が嫌なのである。

●現代文学論争|小谷野敦|筑摩書房|ISBN9784480015013201010月|評=○

<キャッチコピー>

主として1970年以降の論争を取り上げ、それらがどう戦われ、文壇にいかなる影響を与えたかを詳説。新聞・雑誌が、もはや論争を扱わなくなった現在の状況に一石を投じる。

<memo>

筒井康隆の戦い、永山則夫文芸家協会入会論争、柳美里裁判とその周辺、など。中身はおもしろいのだが、饒舌な文体がわずらわしい。

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