福岡伸一●エッジエフェクト――界面作用
* 人々が頭のなかで空想し、 「こういう場所に、こういう建物のある街をつくれば、敵に襲われることもなく、みんなが幸福に暮らせるはず」 と設計図を書き、 トップダウン方式でつくりあげた都市。それが、マチュピチュだと思うのです。 そして、人々はこれまでのネットワークを切断して、あの山上に住み始めました。さて、どうなるか? 動的平衡が失われてしまったのです。〔…〕 常に流動し、絶妙のバランスを取りながら、矛盾が生まれたら上手く調整し、解決しながら、かたちを保ってきたのに、固定した容器に入れたためにそれができなくなってしまった。 本来、ボトムアップ方式つくられるべきものがトップダウン方式でつくられた結果、住んでいるうちに、都市に「ガンのような不具合」が蓄積していったんだと思います。 それはやがて、どうやっても解消できないものになっていく。そのティッピングポイントを迎えたある日、マチユピチユからスーっと人がいなくなった。 ――鈴木光司 「細胞の破壊と再構築」 |
●エッジエフェクト――界面作用|福岡伸一|朝日新聞出版|ISBN:9784022507617|2010年07月|評=○
<キャッチコピー>
エッジエフェクト─それは、異なる分野の出会いが生み出す、新たな世界。各界の第一人者との対談集。欠落したオスと、自己完結するメス(桐野夏生)/生命現象における「美」(森村泰昌)/細胞の破壊と再構築(鈴木光司)/科学と哲学の融合(梅原猛)など。
<memo>
あまりにも早くいっせいに創った街、たとえば神戸ハーバーランドの衰退もトップダウン方式の故か。
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