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2010.12.15

宮本徳蔵●文豪の食卓

20101215

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もし自分の寿命が尽きて、あとほんの一回だけで食事を終わらせ、あの世へ旅立たねばならないとしたら何を食べたいか――つまり切羽詰まったグルメの立場に身を置いてみるがいい。〔…〕

この世を去る日、たまたまふるさとにいるとすれば、お世話になりたい場所は志摩観光ホテルの英虞湾を見下ろすベイ・スイートの3階『ラ・メール』。

活きた伊勢海老、黒鮑で鳴らしたレストランだが、すべて遠慮して、鶏卵四個ほどで肉も野菜も何ひとつ加えず、オムレツをシンプルに焼いてもらう。〔…〕

ふだんどおり東京で暮らしているなら、どこがいいか。ここなら躊躇なく、『ホテル・オークラ』の1階、『テラス・レストラン』をえらばせていただく。〔…〕

料理人は腕っこきぞろい。わざわざ指名する必要はない。食べたいのはプレーン・オムレツのみ。出来ばえに凸凹はない。

――「蛸、鮎の腐れ酢、最後にオムレツ」

●文豪の食卓|宮本徳蔵|白水社|ISBN9784560080979201010月|評=◎おすすめ

<キャッチコピー>

井伏鱒二と鰻、三島由紀夫と酒、埴谷雄高とトンカツ、泉鏡花とウドン……稀代の碩学が流麗な文体とともに、名作の背景に潜む食文化を披瀝する、知的興趣あふれた書き下ろし「美味礼賛」。

<memo>

上掲の「ラ・メール」での最後の晩餐。「おっと、パンだけはぜひとも欲しい。それもパリをしのんで、チーズ入りで熱く焼いたクロック・ムッシュー。いや、男性の精液にどこか似た匂いのそれよりは、女性のあそこを連想させるクロック・マダム」と続く。

ねじめ正一●我、食に本気なり

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