佐々木幹郎◎田舎の日曜日――ツリーハウスという夢
* ヨコヤマさんもすぐ鬱になるという。トクさんもそうなのだ。 この二人が掛け合いの歌をやり続けたのだが、恋愛歌を作るというのは難しい。二人とも、人生論を言い合うことになった。しかし、そこに本音が現れていて、聞いていて面白い。〔…〕 歌い終わってから、ヨコヤマさんもトクさんも、晴々とした顔をしていた。うわぁ、気持ちがいい、と二人とも言う。 「音楽のリズムが一定なので、まるで、縄跳びをしているようで、 縄の中に入るまでタイミングを待って、中に入ったら、夢中で跳び続ける気分だった」とヨコヤマさん。 なるほど。これは精神の縄跳びなのだ。運動と同じなのだ。音楽療法として素晴らしい。 鬱症状の人にはてきめんの効果がある。何を言っても許される空間でないとうまくいかないかもしれないが、山小屋なら可能なのだ。 ――「粉雪のなかのハープと音楽療法」 |
◎田舎の日曜日――ツリーハウスという夢|佐々木幹郎|みすず書房|ISBN:9784622075578|2010年11月|評=○
<キャッチコピー>
「木の上に、ぽっかり人間が浮かぶ遊びの空間があればいいのだ」――浅間山麓で週末の山小屋生活をつづけて四半世紀、詩人が綴る“田舎暮らし”の楽しみと日々。
<memo>
『雨過ぎて雲破れるところ――週末の山小屋生活』(2007)の続編。浅間山麓嬬恋村での週末の暮らし。集まった人々との交流と自然の豊かさを綴る。
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