藤原正彦◎管見妄語 大いなる暗愚
* 我が国の議員は金でも女性でもよく転ぶようだが、女性問題が欧米に似てさほど取り上げられなくなったのは一つの社会的成熟と言えよう。 代りに金の問題となるとメディアをあげ国会をあげ大騒ぎする。今もそうだが国会がこれでいつまでも空回りする。〔…〕 デフレ不況がすでに十年も続きながら何もしない政府。〔…〕 中国や韓国がアジア、アフリカ、中近東で政府主導の市場確保に奔走するのを、国益を守りに出ようともせず傍観している脳天気。 日米中正三角形論とか東アジア共同体論を、自守防衛を棚上げしたままで語る幼稚。 外交、国防、医療、雇用、財政、教育をガタガタにしたまま選挙目当ての子ども手当や事業仕分けショーに情熱を燃やす無定見。 野党が突くべきは与党の金ではなく大いなる暗愚である。 ――「大いなる暗愚」 |
◎管見妄語 大いなる暗愚|藤原正彦|新潮社|ISBN:9784103274070|2010年09月|評=○
<キャッチコピー>
大局観ないまま国民のご機嫌とりにいそしむ政治家たち。他人の不幸はお構いなし、己の利益にのみ躍起となる見苦しい民主主義。「惻隠」「羞恥」「捨身」といった、かつての美風を忘れつつある日本人─。ときにユーモアもまじえ切り込む藤原節の真骨頂。
<memo>
『週刊新潮』連載コラムの単行本化。時事問題はあまり得意でないようで。それにしても“品格なき”菅・仙谷内閣はすぐさま退陣してほしい。
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