吉田修一◎横道世之介
* 睦美が一人娘の愛ちゃんを大切に育ててきたことは知っている。学校選びを含め、愛ちゃんの人生にとって「大切なもの」を与えてやろうと必死になっている。 もちろんとても素晴らしいことだと思う。しかしこの仕事を始めてからつくづく思うのだが、大切に育てるということは「大切なもの」を与えてやるのではなく、 その「大切なもの」を失った時にどうやってそれを乗り越えるか、その強さを教えてやることなのではないかと思う。 |
◎横道世之介|吉田修一|毎日新聞社|ISBN:9784620107431|2009年09月|評=○
<キャッチコピー>
なんにもなかった。だけどなんだか楽しかった。懐かしい時間。愛しい人々。吉田修一が描く、風薫る80年代青春群像。
<memo>
おそらく1988年の東京、長崎から法政大学に入学するために上京してきた若者を主人公に、ありふれたエピソードの1年間を描いたもの。ありふれているゆえになつかしく、多くの若者の共感を得たらしい。登場人物の20年後がときどき挿入され、終章にいたってピースが出揃い、みごとに吉田修一的世界が完成する。
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