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2011.01.18

斎藤美奈子◎月夜にランタン

20110118

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184』は村上春樹には珍しい女性が主役の長編小説だ。新聞のインタビューに答えて作者自身も述べている。

〈とくに今回の作品では、女性の感じ方や考え方をより突っ込んで書いてみたかった〉。物語の中に性虐待やDVが描かれることについては〈暴力と性が、作品を重ねるにつれて僕にとって大事な問題になってきている。この二つは人の魂の奥に迫るための大事な扉と言っていい〉

正直、この記事を読んだときにはちょっとばかり驚いた。〈女性の感じ方や考え方をより突っ込んで書いてみた〉結果が、これ? ほんと?

たとえば大江健三郎『水死』である。〔…〕

184』と『水死』における女の描かれ方は、というわけで同形である。

①女らは性暴力への強い怒りから「闘う女」となった。

②最後は妊娠する(母となる)ことで彼女らは聖化され、物語を救う。〔…〕

それにしても、この国のノーベル賞に一番近い作家とノーベル賞作家がともに「女性を描きたい」と意欲を燃やした結果が、

強姦小説+妊娠小説であることをどう考えるべきなのか。

あ、そーか。「女は性器で考える」っていうことか。「セックスは両足の間(性器)に、セクシュアリティは両耳の間(脳)にある」という言葉もあるんですけどね。世紀の「闘う女」にそんな小理屈は不要なのであろう。

――「ベテラン作家の純文学をジャックする『闘う女』の怪」

◎月夜にランタン|斎藤美奈子|筑摩書房|ISBN9784480816696201011月|評=○

<キャッチコピー>

落ちつけ!混迷ニッポンのから騒ぎをじっくり観察。たいへん、たいへん。そんな声が聞こえてきそうな200610年の日本列島のから騒ぎ。リーマンも温暖化も政権交代もおひとりさまも、一刀両断。落ち着きましょう。

<memo>

本を題材にしての社会批評。やっと文学以外にもおどおどせずに発言できるようになった。

斎藤美奈子■ たまには、時事ネタ

斎藤美奈子●ふたたび、時事ネタ

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