北方謙三◎水滸伝 11・天地の章
* 「人が営みの中で身につけた智恵には、実にさまざまなものがあるのですね。勉強になりました」 「いや、これぐらいのことは」 「私は世間を知らなすぎると、よく母に言われます。こういうことを眼にすると、母の危惧も理解できますね」 「俺は、長く放浪を続けましたが、世間を知ってよかったと思ったことは、あまりありません。 どこにも、人の愚かさや醜さが満ちていて、心を打つものなど滅多に見ることができませんから」 「それもまた、人の世でしょう」 ──「地然の章」(王進と索超) |
◎水滸伝 11・天地の章│北方謙三│集英社│ISBN:9784087461978│2007年08月│文庫│評価=◎おすすめ
<キャッチコピー>
梁山泊の頭領の対立が深刻化していた。兵力をもっと蓄えたい宋江。今すぐ攻勢に転じるべきだと主張する晁蓋。しかし、青蓮寺は密かに暗殺の魔手を伸ばしていた。刺客の史文恭は、梁山泊軍にひとり潜入し、静かにその機を待ち続ける。滾る血を抑えきれない晁蓋は、自ら本隊を率いて、双頭山に進攻してきた官軍を一蹴し、さらに平原の城郭を落とした。北方水滸、危急の11巻。
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