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2011.03.30

生田直親◎原発・日本絶滅

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「お言葉ですが」

と井沢がすすみでた。〔…〕「炉の暴走が報じられたら、地球最後の日がきたようなパニックを起こす可能性さえあります。こういう情報は、やはりしかるべき筋を通して、段階的発表というのか、ある種の制約をつけた発表をしないと危険をともなうんじゃないでしょうか」

その言葉には二つの誤謬があると湯原は思った。

一つは地球最後の日のような誤解というが、まさしく地球最後の日といって不思議ではない救いがたい悲劇が到来するのである。パニックは起こるべくして起こる不可避の問題だった。

もう一つの誤りは、しかるべき筋の手を通しての発表ということである。〔…〕過ちを犯した張本人に危険の発表をゆだねれば、自分の過ちに頬かぶりした、ご都合主義の発表にしかならない。

予想被害をきわめて低い数値で、狭い被害範囲でしか公表しないのにきまっている。

◎原発・日本絶滅│生田直親│光文社│ISBN9784334027896198811月│新書/文庫版199911月│評価=○

<キャッチコピー>

茨城県東海村にある原発に異常震動が発生。日本原子力研究所の湯原博士は原子炉を停止させるが、東菱研究所の井沢は、形ばかりの点検を済ませると、独断で運転再開に踏み切った。だが再び、異常震動が起こり、原子炉は破滅への暴走を始めた。炉心溶融、大爆発、避難する人人の大混乱。綿密な調査と膨大な資料を駆使して、原発倒壊の悪夢を赤裸々に描いた衝撃作。

<memo>

19864月のチェルノブイリ原子力発電所事故を契機として原発を扱った小説、ノンフィクションが多数出版された。本書もその一つ。20113月の福島原発事故、いまだに収拾がつかない状態が続いている。平気で嘘を重ね、失態を重ねる菅直人政権が最期にやることは“すべての責任は東電にかぶせろ”であろう。

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