猪熊建夫◎ジャーナリズムが亡びる日──ネットの猛威にさらされるメディア
* メディアの関係者は、己の食い扶持とジャーナリズムの意義や有りようを、とかく混同しがちである。 多くの業種・業界と同じように、自分の仕事が失われても世間は一向に困らないかもしれない、ということを認識すべきであろう。メディアとて聖域ではないのだ。 「インターネットは、自らニュースやコンテンツを発信しているわけではない。だから、ジャーナリズムの役割は担えず、単なる情報通信基盤にすぎない。優れ物であることは、よくわかっているが……」と、したり顔をしてきた。 しかし、2010年の秋以降、民間告発サイト「ウィキリークス」や、動画投稿サイト「ユーチューブ」が大活躍している。〔…〕 賛否両論があるにせよ、なまじの浅知恵が入らない「無編集」「無選択」の効用を、再認識させられたのである。 ひょっとすると、新聞社やテレビ局が没落しても、ジャーナリズムはきちんと機能するかもしれない、いずれネットを主舞台とする組織ジャーナリズムも育ってくるであろうし……と、いささか迷いも生じてくるのである。 |
◎ジャーナリズムが亡びる日──ネットの猛威にさらされるメディア│猪熊建夫
│花伝社│ISBN:9784763405920│2011年01月│評価=△
<キャッチコピー>
ネットになびく広告、テレビ離れ、放送と通信の融合、新聞・出版の衰退…。マスメディアが崩壊すれば、ジャーナリズムも衰退する。ネットは単なる通信基盤であって、コンテンツ創造能力はない。「有料課金」に徹してこそジャーナリズムは維持できるのではないか。
<memo>
ジャーナリズムを論じたものではない。元新聞記者による新聞、テレビ、本、ネット等、メディアの現状に関する“ゆるい”解説本。
岸博幸●ネット帝国主義と日本の敗北 ――搾取されるカネと文化
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