魚住昭◎冤罪法廷── 特捜検察の落日
* 「それから、遠藤検事から 『執行猶予になるんだからいいじゃないか』と言われたわけですが、国井検事からはそういうことを言われたことはありませんか」 「国井検事も同じように『これはたいした罪ではない』と同じことを述べられました」 「それに対して?」 「検事さんはみんなそういうふうに考えるのかな、と思って、『検事さんの言われる、その“たいした罪”というのはどういうものですか?』とおうかがいしたら、殺人や、傷害だと」 「それで?」 「私もそう言われたのは2度目なので、非常に怒りが湧いてきて『こんな罪に問われるぐらいなら、この歳になって、恋に狂って相手の男を刺したと言われたほうがよっぽどマシだ』というふうに言いました」 「国井検事の反応は?」 「なにもおっしゃいませんでした」 ──「終章 村木厚子の“告発”」 |
◎冤罪法廷── 特捜検察の落日│魚住昭│講談社│ISBN:9784062165518│2010年09月│評価=○
<キャッチコピー>
09年6月、郵便不正事件に関連して、厚労省のエリート女性局長が虚偽有印公文書作成・同行使容疑で逮捕された。「あなたがウソをついているか、ほかの全員がウソをついているかのどちらかだ」完璧なまでに整えられた検察ストーリー。すべての関係者証言は彼女の犯行を指し示していた。絶対不利の法廷に、「無罪請負人」で知られる百戦錬磨の弁護士が立ち上がった。「最強の捜査機関」崩壊の瞬間。
<memo>
検察は真実に敗れたのではなく、弁護士の戦術に敗れたと強調する。ヤメ検の弁護士が担当していたら有罪になったとも。この「郵政不正事件」は、証拠品のフロッピーディスクを改ざんした “大阪地検特捜部のエース”前田恒彦検事逮捕という新たな展開を見せ、上司だった大坪弘道特捜部長等の逮捕につながるが、本書ではまったく触れられておらず、続編が望まれる。
村串栄一●新・検察秘録 ――誰も書けなかった政界捜査の舞台裏
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