藻谷浩介◎デフレの正体──経済は「人口の波」で動く
* 日本経済を蝕む、生産年齢人口減少に伴う内需の縮小。 処方箋として挙げられがちな、生産性を上げろ、経済成長率を上げろ、公共工事を景気対策として増やせ、インフレ誘導をしろ、エコ対応の技術開発でモノづくりのトップランナーとしての立場を守れとかいった話には実効性が欠けることをお示しして参りました。 代わりに①生産年齢人口が減るペースを少しでも弱める、 ②生産年齢人口に該当する世代の個人所得の総額を維持し増やす、 ③個人消費の総額を維持し増やす、の三つの目標を挙げましたが、具体的には誰が何をするべきなのでしょうか。 第一は高齢富裕層から若い世代への所得移転の促進、 第二が女性就労の促進と女性経営者の増加、 第三に訪日外国人観光客・短期定住客の増加です。 いずれも経済問題のジャンルでは話題になることが少ない、たまに言及されても「経済成長率」などに比べればほんの脇役扱いの事柄ばかりですが、しかし実際には、これら三つには日本経済再生に向け真っ先に取り組むべき意義があります。 |
◎デフレの正体──経済は「人口の波」で動く│藻谷浩介│角川書店│ISBN:9784047102330│2010年06月│新書│評価=◎おすすめ
<キャッチコピー>
「生産性の上昇で成長維持」という、マクロ論者の掛け声ほど愚かに聞こえるものはない。日本最大の問題は「2千年に一度の人口の波」だ。「景気さえ良くなれば大丈夫」という妄想が日本をダメにした。これが新常識、日本経済の真実。
<memo>
国内新車販売台数に、小売販売額に、雑誌書籍販売部数に、国内貨物総輸送量に自家用車による旅客輸送量に、蛋白質や脂肪の摂取量に、国内酒類販売量に、一人当たり水道使用量。これらがいずれも96年から02年にかけて減少に転じた.〔…〕この現象を消費者の側から言えば「昔ほど車を買わない、そもそも以前ほどモノを買わない、最近余り本や雑誌を読まない、モノを送らなくなったし車にも乗っていない、近頃余り肉や脂を食べないし酒量も減った、水も昔ほど使っていない」。これは正に退職後の高齢所帯の消費行動そのものではありませんか。(本書)
・数字は率でなく、実数で判断する。
・中国・韓国・台湾が伸びれば、日本も伸びる。イタリア・フランス・スイスのブランドを追い越せ。
・地域間格差はなく、地方の衰退・東京の一人勝ちではない。
・少子高齢化ではなく、現役世代(生産=消費年齢人口)の激減が諸悪の根源。
・人件費等コスト削減で内需の縮小、ますます不景気に。
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