永尾俊彦◎貧困都政──日本一豊かな自治体の現実
* 確かに記者会見の記録を読むと、およそ都政に関係のない問題について知事のコメントを求める質問が目につく。世相の「ご意見番」のような扱いなのだ。逆に知事に批判的な質問はほとんど出ない。 「評論家、文化人、もしくはコメンテーターの副業がたまたま『東京都知事』だったということでしょう。本人もマスコミも相互にそれを楽しんでいる。そしてわれわれ都民がそういう状況をつくったわけです」 ここに、国政ではろくな働きができなかった石原知事が、都政では存在感を発揮できた理由の一端があるのではないだろうか。 そもそも石原知事は都庁には週に3日前後しか来ない。 情報公開で入手した知事日程表によれば、2005年129日、06年126日、07年103日しか登庁していない。 そして、映画を製作したり、小説を執筆したりしている。全身全霊で都政に打ち込んだとは到底いえない。それでいて知事の年間給与は2908万円(2010年度)だ。 |
◎貧困都政──日本一豊かな自治体の現実│永尾俊彦│岩波書店│ISBN:9784000245074│2011年02月│評価=○
<キャッチコピー>
1999年に誕生した石原都政は、オリンピック招致、新銀行設立、築地移転と耳目を引く施策を打ち上げてきた。だが、この大都会の足元で、貧困と格差が広がっている。奪われる命、削られる福祉、崩壊した家庭と職場――現場からの報告。
<memo>
週2.5日で知事が務まるとは驚き。
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