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2011.04.28

粕谷一希◎作家が死ぬと時代が変わる──戦後日本と雑誌ジャーナリズム

20110428

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全共闘運動のさなかに起きた三島事件の後、文壇では目に見える変化が現れてきた。

それまで黙っていた人が発言しはじめたのだ。

「粕谷君、作家が死ぬと時代が変わるんだよ」

この言葉は、文学には鋭いセンスを持っていた嶋中[鵬二]さんの真骨頂を示すものだった。

三島事件への反応で目立ったのが、文士でいうと阿川弘之さんと吉行淳之介さんだった。〔…〕

吉行さんに至っては 「スーパースター」という短編小説の傑作を書きあげてしまった。三島由紀夫というスーパースターをこれほど痛烈に皮肉った小説はない。

ここに至って文学では、吉行さんら第三の新人が自己表現を開花させる。

吉行さんが「軽薄のすすめ」、安岡章太郎さんが「ぐうたら」、遠藤周作さんが「狐狸庵センセイ」。三島さんの重しがとれて、軽みで勝負し始めたのである。〔…〕

結局、全共闘運動が沈静化していくプロセスで社会全体が白ける。「シラケ」が時代のキーワードになった。

◎作家が死ぬと時代が変わる──戦後日本と雑誌ジャーナリズム│粕谷一希│日本経済新聞出版社│ISBN9784532165611200607月│評価=○

<キャッチコピー>

言論史の現場を語り尽くす。「中央公論」「東京人」の名編集者が見た現代史。三島由紀夫、司馬遼太郎、林健太郎、大岡昇平…。ひとりの作家が死ぬと、今まで黙っていた他の人たちが言葉を発し始める。

<memo>

論壇・文壇の現場と時代の雰囲気を語る。本書は時代によって評価が変化する著名人のライバル物語。ローマとルネッサンスを書き続ける塩野七生は「西洋ものの司馬遼太郎を書くつもり」だったという。

粕谷一希■ 鎮魂 吉田満とその時代

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