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2011.04.18

森田吉彦◎評伝 若泉敬──愛国の密使

20110418

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猛暑に見舞われた2007年の夏、私は福井県鯖江市を訪れ、若泉の墓に参ることができた。

「私の知るだけでも、いろいろ有名な方が悩みを抱えてお参りに来られます。そしてお祈りした後、帰られるときに、ふっと楽になったような顔をされる」

不案内な私を、軽トラックで小高い丘の上まで特別に送ってくれた駅前の酒店のおかみさんが、声を弾ませる。隠棲した若泉が馴染みにしたこの店には、没後につくられた「若き泉 志」の銘の純米吟醸酒がある。ラベルを揮毫したのは、末次一郎。裏側には、次のように綴られた。

自分の心も伝えられない者が

人の心を伝えようとする

こんな愚かな事はないと思いつ

それでも伝えたい人がいる

/人と自然を心から大切にし/静かに平和を祈る姿/

「志」に心魂を注ぎ最期まで信念を貫いた/若泉敬先生

墓石は、広い太平洋の部分を正面に向けている。日本とアメリカを結ぶその海には、大きく「志」の文字が刻まれた。

◎評伝 若泉敬──愛国の密使│森田吉彦│文藝春秋│ISBN9784166607914201101月│新書│評価=○

<キャッチコピー>

佐藤栄作総理の「密使」として沖縄返還を実現した国際政治学者はなぜ長い沈黙を経て「核密約」があったことを明らかにしたのか。新たな資料と証言により、謎に満ちた生涯に迫るとともに、今なお沖縄に米軍基地を置く戦後日本の歪みを浮き彫りにする。

<memo>

密約の4人──ニクソン、キッシンジャー、佐藤栄作、そして一大学教授の若泉敬。いったい何者と思っていたが、やっと若泉の全体像が分かった。

若泉敬★他策ナカリシヲ信ゼムト欲ス

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