加藤徹◎本当は危ない『論語』
* 漢字では「人の言」と書いて「信」と読む。『論語』は信を重んずる。 例えば『論語』顔淵第十二の孔子の言葉「古より皆死有り。民、信無くんば立たず」云々は有名である。孔子の思想によれば、政治の要諦は「食・兵・信」の三つである。 政治家はまず人民の食糧を確保し、次に軍備を充足し、そして人民の信用を得ねばならない。最も大切なのは信用で、これは一朝一夕には得られない。 しかし、人民が「信用する心」さえ失わなければ、たとえ戦災や飢餓で大量の死者が出ても、社会は立ち直れる。〔…〕 ゆえに、政治の最大の要諦は「信用」であり、政治家はウソをついてはならない、というのが『論語』の思想である。 一方、古代ヤマト民族は詐術を恥じなかった。ウソをつく人より、だまされるほうが愚かで悪かった。 |
◎本当は危ない『論語』│加藤徹│日本放送出版協会│ISBN:9784140883419│2011年02月 │新書│評価=△
<キャッチコピー>
『論語』及び孔子にまつわる基本知識を踏まえ、優れた古典というだけではおさまりきらない“危ない古典”『論語』の真髄を解き明かす。
<memo>
民、信無くんば立たず。菅首相に贈る言葉です。タイトルの“本当は危ない”の意味は、「徳川家康や松平定信のように、『論語』を支配体制の強化の道具として使うこともできる。吉田松陰や西郷隆盛のように、『論語』を体制転覆のエネルギーとする志士もいる」(本書)。単なる「論語」入門書。
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