« 筒井康隆◎漂流──本から本へ | トップページ | 北村薫/宮部みゆき:編◎名短篇、さらにあり »

2011.04.20

山口瞳:著/中野朗:編◎追悼

20110420

*

追悼文というのは、特にそれが不慮の事故死であったとき、故人を褒め讃えるものときまっている。「死んだ人の悪口を言うな」と言う。

しかし、人間には長所と短所があり、その短所を書かなければ、故人の全体としての人間像が浮かびあがってこない。

すなわち、本当の追悼文にはならない。私はそう思っている。短所が長所につながる場合もある。

追悼文で故人の短所や欠点を書くときは胸が痛む。とても辛い仕事だ。永さんの追悼文からは永さんの痛みが伝わってくる。そうでなければ駄目だ。〔…〕

永六輔さんは泣きながら書いていたと思う。泣きながら書いたら良い文章になるとは言えないが、ちかごろ、特に小説では、この作者は泣きながら書いていると思われる文章にお目にかかることが少くなった。心情を吐露するということがなくなってしまった。

──「ウへホムフイテ」

◎追悼(上・下)│山口瞳:著/中野朗:│論創社│ISBN9784846010232201011月│ISBN978484601024912月│評価=○

<キャッチコピー>

褒めるだけでは本当の追悼にならない。川端康成の死を哀惜し、山本周五郎の死に涙し、三島由紀夫の死に疑問を投げ、梶山季之の死を無念がり、向田邦子の死に言葉を失う。山口瞳が80人に捧げた追悼文を一挙集成。

<memo>

1963年没の川島雄三から1995年没の高橋義孝まで、上下あわせ800ページの追悼文を読むのはさすが疲れる。当の山口瞳は1995年没。70歳。「どうやって死んでいったらいいのだろうか。そればかり考えている。唸って唸って(あれを断末魔というのだろうか)。カクンと別の世界に入ってゆくのだろうか」と死の2週前の絶筆。山口瞳は作家というより“生涯一編集者”というのが私の説である。ちょうど本書を読んでいるとき(20113月)、著者の夫人山口治子氏の訃報あり。83歳。

山口瞳★男性自身

山口治子/中島 茂信■ 瞳さんと

|

« 筒井康隆◎漂流──本から本へ | トップページ | 北村薫/宮部みゆき:編◎名短篇、さらにあり »

書籍・雑誌」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 山口瞳:著/中野朗:編◎追悼:

« 筒井康隆◎漂流──本から本へ | トップページ | 北村薫/宮部みゆき:編◎名短篇、さらにあり »