今野敏◎初陣── 隠蔽捜査3.5
* 「マスコミが心配だ。どうしてこんなに捜査が遅れたのかと突っ込んでくるに違いない。そうなれば、刑事の不祥事が明るみに出る恐れがある」〔…〕 「手に余るなら、上に預ける。それも原則だ。みんな、自分が組織の一員であることを忘れて、できないことを背負い込むから悩むんだ。手に余る事柄は上の者に任せる。それでいいんだ」 「だが、圧力をかけてきた与党の大物議員のことが気になる」 「政治家が本当に司法機関に圧力をかけられると思っているのか? そんなのはマスコミが作り上げた幻想だ。 実際は逆だよ。政治家に、官僚が圧力をかけるんだ。それくらいのことがわからないのか。気にすることはない」 なんと単純で明快なこたえだろう。警察のやるべきことは、捜査と検挙。それだけをやればいいということだ。 |
◎初陣──隠蔽捜査3.5│今野敏│新潮社│ISBN:9784103002543│2010年05月│評価=○
<キャッチコピー>
「隠蔽捜査」シリーズ。警視庁刑事部長・伊丹俊太郎と大森署署長・竜崎伸也。幼馴染にして立場の違う同期のキャリア。組織の壁に悩む伊丹の苦境を竜崎の信念が救う。
<memo>
シリーズ“3.5”というのは、本編でなく3と4の間の番外という意味らしい。テレビドラマの脇役として活躍していた人物を主役として作ったドラマのことをスピンオフドラマというらしいが、本書はそれ。いつもの竜崎が脇役に回る連作短編。『疑心』の裏話の「試練」など8話。
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