さいとうたかを◎俺の後ろに立つな──さいとう・たかを劇画一代
* 私はかねてから漫画とは、滑稽を誇張した風刺画、そんな捉え方をしていた。その考え方からすると、私が描いているものはそれと一線を画す。その差異を読者に示すためにも、「漫画」に代わるネーミングが必要だった。 「説画」「コマ画」など、いろいろな案が出たが、まさに産みの苦しみに苛まれ、殺気立った議論になることもしばしば。 収束の方向へと動いたのが、辰巳ヨシヒロが考案した「劇画」という名称であった。〔…〕 名前がついてしまうと現金なもので、「劇画」というネーミングはストレートでわかりやすい上に、覚えやすく語感もいいと誰もが満足した。〔…〕 何もかもが輝いて見えた昭和34年、「劇画」という言葉を旗印に、私たちは「劇画工房」を結成。 石川フミヤス、辰巳ヨシヒロ、松本正彦、佐藤まきあき、桜井昌一、山森ススム、K・元美津に私を含めた8名で、貸し本屋向けの単行本を精力的に描いた。それぞれの作品には、「劇画」を冠したことはいうまでもない。 |
◎俺の後ろに立つな──さいとう・たかを劇画一代│さいとうたかを│新潮社│ISBN:9784103257318│2010年06月│評価=△
<キャッチコピー>
『ゴルコ13』連載40年超、休載なし。誰が巨匠の背後を襲えるか。波乱の少年時代。発想の秘密。経営戦略。教育論。血液型論。すべてを語りつくした決定版自伝・劇画論。
<memo>
巻末に年表、作品リストが掲載されている。劇画一代とあるので、佐藤まさあき『「劇画の星」をめざして――誰も書かなかった〈劇画内幕史〉』のようなものを期待したが、聞きたくもない人生訓、教育論なども。
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