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2011.05.20

山口仲美◎日本語の古典

20110520

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「虫めづる姫君」。実は、この話は、高校の国語の先生が読んでくれて、いたく感動して忘れられなかった話なのです。へえ、平安時代の末期に、こんなに深く本質的な考え方をする姫君がいたんだあ、と。〔…〕

毛虫を手のひらにのせ、愛撫して、じっと観察する姫君がいました。それが、「虫めづる姫君」の主人公。実在の人物をモデルにした話と言われています。〔…〕

彼女は言います、人々の、花、味やとめづるこそ、はかなくあやしけれ。

人は、まことあり、本地たづねたるこそ、心ばへをかしけれ

(=人々が、花や蝶をもてはやすのこそ、全くあさはかでばかばかしいことね。人には真実を知りたがる心がある。物事の本源を追究するのこそ、すばらしい心遣いなのよ)」。

だから、彼女は、蝶よりも、その源になった毛虫こそ観察すべき対象と考える。たしかに、結果として現れた美だけをもてはやすのは、あさはか。その美しさのはぐくまれる根源となったものを追究していくことこそ、奥深い。

──「堤中納言物語」

◎日本語の古典│山口仲美│岩波書店│ISBN9784004312871201101月│新書│評価=◎おすすめ

<キャッチコピー>

奈良時代の『古事記』から江戸末期の『春色梅児誉美』まで、言葉と表現を切り口にその面白さを解き明かしていく。登場人物の言葉遣い、鮮やかな比喩、生き生きした擬音語・擬態語などを味わいながら、古典の底力、日本語の魅力を再発見できる、斬新で楽しい古典文学入門。

<memo>

おすすめ高校生向け古典文学入門ガイド本。──姫君は、虚飾も排除します。「人間たるもの、すべて自然のままがいいのだ」と彼女は主張し、「眉さらに抜きたまはず。歯黒め、さらに「うるさし、きたなし」とて、つけたまはず」。

山口仲美■ 日本語の歴史

山口仲美■ 新・にほんご紀行

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