酒井順子◎金閣寺の燃やし方
* 金閣寺を造らせた人、造った人、燃やした人、書いた人。金閣寺は、多くのドラマを生みました。 放火事件の後に再建され、目に痛いほど金色に輝く金閣は、今もなお大量の観光客を自らに引き寄せていますが、しかし放つ輝きが強すぎて、誰も本当には金閣に近付くことができない。 金閣は、愛されるほどに孤独な存在なのです。 その寺は、養賢を、三島を、そして水上を……と、孤独な人々をひきよせました。 金閣に数奇な運命を与えているのは、実は金閣自身の魂。 観光客の群の中で金閣を眺めていると、哀しいほどに一人ぼっちの気分になってくるのは、おそらくそのせいなのだと思います。 |
◎金閣寺の燃やし方│酒井順子│講談社│ISBN:9784062166195│2010年10月│評価=△
<キャッチコピー>
「金閣寺焼失事件」に心を奪われた二人の作家・三島由紀夫と水上勉。生い立ちから気質まで、ことごとく対照的な二人を酒井順子が解剖。面白すぎる新・文芸評論。
<memo>
三島由紀夫『金閣寺』、水上勉『五番町夕霧楼』『金閣炎上』、1950年の金閣放火事件をテーマにした二人の作家のまったく異なる個性を、母、故郷、寺、戦争、美、女、生、死など対比させながら描き、やがて三島ファンの著者が水上に傾斜していく。
| 固定リンク
コメント