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2011.06.10

木村大治◎括弧の意味論

20110610

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括弧の持つ力も、いわば高度に「取扱注意」の対象なのだ。

括弧は、統語論的に文章を読みやすくするためだけでなく、通常では語り得ないことを語ったり、言葉の著作権を明示したり、

さらにはそのことによって読者を共犯関係に巻き込んだり、といったことをするためにとても有効な道具である。

しかし一方、括弧はついているのだが、それによって結局のところ何を意味したいのか、どこへ連れて行きたいのかがよくわからない、それにもかかわらず、やたらもったいぶった雰囲気だけは感じられる、という場合もしばしばある(それを「がん化」と呼ぶのはちょっと言いすぎだろうが)。〔…〕

しかしやはり、使いすぎはいかんのである。〔…〕そのようなことで、括弧つきの引用によって本書を閉じさせていただく。括弧の「ご利用は計画的に」。

◎括弧の意味論│木村大治NTT出版│ISBN9784757142657201102月│評価=◎おすすめ

<キャッチコピー>

週刊誌の見出し、現代思想のテキスト、TVの字幕、数式やプログラミング・コード、そして現代にあふれる括弧的な現象…。括弧によって切り取られた言葉は、ある種のアブナイ性質を帯びる。言語の持つ生成性の源に触れる、現代コミュニケーション論。

<memo>

やたらに「」(カッコ)の多い文章があふれている。ある言葉を本来の意味とズレがある使い方をするときなどに使うことが多い。ある言葉を目立てさせたいときの「」の多用は「週刊新潮」に任せておけばいい。

■教科書に載っているかっこの使い方(本書から)

「 」かぎかっこ

・話したことを書くとき。「おはようございます。」

・思ったことを書くとき。わたしは、「うれしいな。」と思いました。

・ある言葉を目だたせたいときや、読みやすくしたいとき。大きな魚や「ざりがに」にもおそわれます。

( )まるがっこ

・言葉をわぎなったり、説明したりするとき。小さな画用紙(はがきぐらいの大きさ)を用意します。

・思ったことを書くときに「 」のかわりに使うことがあります。わたしは、(うれしいな。) と思いました。

『 』二重かぎ

・「 」の中に、さらに「 」が入るとき。「となりの人が『回らんです。』って、これをもってきたよ。」

・書名などをあらわすとき。休みの日に『長くつ下のピッピ』を読んだ。

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