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2011.06.13

真山仁◎プライド

20110613

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「昔、大学での研究を挫折した時に、官僚になって日本の農業を変えてみろと恩師に言われたんだ」

米野は一塊の黒土を大事そうに指でほぐしながら続けた。

「冗談じゃない、お役人なんて性に合わない。そんな者になれるかって、そう食ってかかった。そうしたら、恩師に農場に連れて行かれて、こうして土を握らされた。

官僚とは、土だ。土はすべての実りの礎だが、土が痩せてたり腐ってしまえば、まともな作物などできはしない。

今の官僚は、それを忘れかけている。だから、おまえが身を挺して、コメのために土になれ。そう言われた。とんでもない暴論さ」

──「一俵の重み」

◎プライド│真山仁│新潮社│ISBN9784103233213201003月│評価=△

<キャッチコピー>

現実の社会事象に着想を得て、人物の深層心理までも描き込んだ「社会派心理小説」と呼ぶべき極上のフィクション全六編。働くために、そしてこんな時代を生き抜くために、絶対に譲れないものの姿を追い求めた著者渾身の作品集。

<memo>

何のために人は働くのか。そして、どうすれば衿侍を守ることができるのか。それを守るために、どのくらいの犠牲に堪えられるのか。あるいは、犠牲を払ってまで守るプライドとは何なのか──。ここ数年、ずっとそう問い続けてきた。(あとがき)

真山仁◎ベイジン

真山仁◎虚像(メディア)の砦

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