青木理◎ルポ拉致と人々──救う会・公安警察・朝鮮総聯
* 結局のところ、時の政権の意を慮って歪んだ警察権を行使したことで重用されたにすぎぬ元キャリア警察官僚は、 警察組織トップの警察庁長官としても、官僚機構トップの官房副長官としても、その任を務めるに値する人物ではなかったのだ。〔…〕 それにしても、漆間が警察庁長官として「北朝鮮への圧力を担う」「北朝鮮に交渉する気にさせるのが警察の仕事」などと豪語し、全国警察が数々繰り出した政治的、恣意的な捜査は、一体どのような“政治的効果”をもたらしたのだろうか。 冷静に振り返ってみれば、単に北朝鮮の態度を硬化させて日朝間の交渉パイプ途絶を加速させ、懸案の拉致問題にしても展望の見えない膠着状態に追いやってしまっただけではなかったか。 ──第2章 警察を歪ませた男 |
◎ルポ拉致と人々──救う会・公安警察・朝鮮総聯│青木理│岩波書店│ISBN:9784000024273│2011年01月│評価=○
<キャッチコピー>
日本社会にとって拉致問題とは何なのか。国交正常化をめざしたはずの2002年の日朝首脳会談から8年、状況と思考はなぜ停止してしまったのか。日朝関係をとりまく硬直を打ち破るルポルタージュ。
<memo>
日朝の関係改善が滞り、緊張が増してしまった原因を、メディアが書かない公安警察・朝鮮総連・「救う会」関係者などの内情に踏み入る。
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