永江朗◎筑摩書房それからの四十年 1970ー2010
* 本書を執筆していていちばんつらかったのは、1978(昭和53)年の倒産に至る経緯を調べていたときです。 筑摩書房に対して抱いていたイメージが崩れてしまいました。いい会社だと思っていたのに、がっかりしました。社史を書く仕事を引き受けたのを後悔しました。〔…〕 ところが今回調べてみると、どうでしょう、倒産直前の筑摩書房は腐りきっていました。 なかでも許しがたいのは「紙型再版」です。つまり、同じコンテンツの使い回し。紙型=印刷するときの元版を再利用して、あたかも新しい本であるかのように見せかけ、読者に売りつけようとしました。 〔…〕古田時代に築いた筑摩書房のブランドと、それを背景にした有利な取引条件を悪用したのです。 もっとも、読者は出版社よりも賢く、紙型再版にそっぽを向きました。そのため返品率は上昇し続け、とうとう会社更生法の通用申請となったのです。天罰覿面。 |
◎筑摩書房それからの四十年 1970~2010│永江朗│筑摩書房│ISBN:9784480015174│2011年03月│評価=○
<キャッチコピー>
1978年、筑摩書房は倒産した。新しいメディアを模索しながら、文庫・新書を創刊。営業と物流も変革し、再建をめざす必死のドラマの40年。
<memo>
和田芳恵の名著『筑摩書房の三十年 1940―1970』復刻版を出し、その続編としての40年史を同時発売。
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