森功◎泥のカネ──裏金王・水谷功と権力者の饗宴
* そもそも福島原発では、90年代後半から多くの不祥事が起きていました。〔…〕
極めつきが02年9月、原子炉における格納容器気密試験のデータ偽装の発覚だ。一連のトラブルのおかげで、福島県内の原子炉はいっとき全10基の運転停止を余儀なくされてしまう。
そして このデータ改竄事件を境に、それまで原発容認派と見られていた福島県知事の佐藤栄佐久は、再操業反対の姿勢に転じた。
佐藤はプルサーマル計画の白紙撤回を求め、福島県内にある第1、第2原発ともに操業再開の目途が立たなくなる。〔…〕
当時の原発トラブルは、東電にとって、会長の荒木をはじめ、社長や相談役にいたるまでが総退陣するほどの不祥事だった。〔…〕
文字どおり弱り果てていた東電は、原発の再稼働に躍起になる。水谷建設の不明朗な資金操作が発覚したのは、まさにそんな折の出来事だったのである。
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◎泥のカネ──裏金王・水谷功と権力者の饗宴│森功│文藝春秋│ISBN:9784163736501│2011年04月│評価=○
<キャッチコピー>
東電・福島原発の大罪、黒い裏事情がここに! 福島原発から小沢一郎の胆沢ダムまで、汚い金の臭いがする所には、必ず“裏金王・水谷功”の影がある--。政界の裏街道でその名を知られた「闇の政商」の告白から、政官業「癒着」の核心をあぶり出した傑作ノンフィクション。
<memo>
のちに佐藤知事は収賄容疑で逮捕されるが、原発反対派となったため国策捜査で逮捕されたと主張する(「知事抹殺── つくられた福島県汚職事件」)。
■裏金づくりの手口……。1億円のブルドーザーを2年以上使うと中古になる。水谷建設は重機ブローカーへ8千万円で売る。ブローカーは1千万円の仲介マージンを乗せ、オークションに9千万円で出す。本来、ブローカーは8千万円を振り込まなければならないが、水谷側は減価償却され、帳簿価格上の4千万円となっている。そこで4千万円だけを振り込み、残り4千万円を手元に置いてプールしておく。必要に応じ、水谷からの指示でそのプール金から裏金を引き出す。
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