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2011.07.06

深沢七郎◎生きているのはひまつぶし

20110706

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嫌なことは忘れればいい。

忘れるという人体の構造になっているのは、造化の妙というより、生きている間の人間の知恵だね。〔…〕

忘れるには血のめぐりをよくして、血液の循環をよくすることだね。下水がつまったときは、うんと水を流すのと、人間の身体のしくみも同じだね。うんとめしを喰って、うんと排泄するといい。〔…〕。

とにかく、生きているうちは暇つぶしがいい。ギターを弾いたり野菜を作ったりするのも暇つぶしだね。

オレには生きていることが青春だからね。死ぬまではずーっと青春の暇つぶしだね。

人生とは、何をしに生まれてきたのかなんてわからなくていい。三千年前に悟りを開いたお釈迦様は、“それは、わからない”と悟ったから悟りを開いたんだね。

此の世は動いている。日や月が動いているのだから人の生も死も人の心の移り変わりも動いている。人間も芋虫もその動きの中に生まれてきて死んでいくということだね。

まあ、暇をつぶしながら、死ぬまではボーッと生きている。それがオレの人生の道、世渡り術というものだよ。

◎生きているのはひまつぶし──深沢七郎未発表作品集│深沢七郎│光文社│ISBN9784334974848200507月/文庫版:ISBN9784334748609201010月│評価=△

<キャッチコピー>

「忘れるっていうことは、人間に大切なことですよ」「自然死(自殺ではなく)は人間にとって一番ありがたいこと」。放浪の果ての農耕生活、作家としてのオンリー・ワンの生き方を貫いた深沢七郎の未発表作品集。

<memo>

深沢七郎未発表作品集というものの、エッセイ2本とインタビューに応えた放談を集めたもの。19878月、73歳で亡くなってから、初めてのオリジナル本。未収録作品とは、それなりの質的理由があってのことだと分かる。

開高健◆人とこの世界

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