ねじめ正一◎母と息子の老いじたく
* 慣れない私が苦心してやっと着せたカーディガンを、着せ終わったとたんに脱がせろと言うのだ。〔…〕 母は「正一、怒らないでおくれ。一回でもカーディガンを着るのを手伝ってもらうと、もう着れなくなってしまうのではないかという気持ちになってくるんだ。 だから、自分で着直すよ」とマヒした右手の方からガーディガンの袖にやっとこさ通すと、今度は左手をカーディガンの袖に通して、ひとつひとつボタンをかけ終わる。 20分以上かかった。母は一度でも自分がふだんやっていることをさぼると、二度とできなきなくなってしまうという不安に駆られるのだ。 |
◎母と息子の老いじたく│ねじめ正一│中央公論新社│ISBN:9784120042287│2011年04月│評価=△
<キャッチコピー>
あちこち出かけてみたけれど、やっぱり最後は母の介護!初めて過ごす二人きりの時間…。おふくろ86おれ還暦。雑誌『婦人公論』の人気連載。
<memo>
すっかり“ゆるキャラ”になってしまった詩人のエッセイ集。母よりよりも本人の“ぼけ防止”対策が必要では……。
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