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2011.08.08

川西政明◎新・日本文壇史――第1巻・漱石の死

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森鴎外、夏目漱石らの留学により外国文学との世界同時性が開始されるとともに、東西両文明の対立・矛盾と融和・調和が現実化してきた。

明治の文士は世界や国家や社会のなかに自己を据えて文学と取り組み、自我の形成発達、家や封建制度の超克、戦争と人間の問題まで視野に入れて小説を書き、詩歌を詠った。〔…〕

父や祖父の世代が作り上げた近代国家日本の土壌の上に大きな主題を追求した明治の文士とは違って、

大正の文士は内向的な世界に閉じこもってより小さな主題を追求していったと言えよう。〔…〕

フランスから帰朝した永井[荷風]は享楽主義の作品を発表して反自然主義の風潮を形成し、

『白樺』からは人道主義、理想主義、自己中心主義を掲げる武者小路実篤、志賀[直哉]が現れ、

第二次『新思潮』の谷崎[潤一郎]は悪魔主義、耽美主義を実践し、

第四次『新思潮』の芥川[龍之介]は新理知主義を完成させた。

──第4章 直哉,春夫,潤一郎

◎新・日本文壇史――第1巻・漱石の死|川西政明|岩波書店|ISBN9784000283618201001月|評=○

<キャッチコピー>

大正5年、文豪・夏目漱石は48歳の生涯を終えた。漱石の死は大正文学の始まりでもあった。

<memo>

伊藤整による「日本文壇史」は瀬沼茂樹によって書き継がれ、第24巻「明治人漱石の死」で完結。川西版はその「漱石の死」から始まる。漱石の弟子久米正雄、松岡譲による漱石の娘争奪戦、芥川龍之介の不倫、北原白秋の姦通罪、谷崎潤一郎と佐藤春夫の細君譲渡事件など、大正文壇スキャンダル史。

川西政明■ 吉村昭

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