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2011.08.11

川西政明◎新・日本文壇史――第4巻・プロレタリア文学の人々

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藤沢清造は毒舌家として知られた。 人を人と思わなかった。雑誌の座談会で面と向かって相手を痛罵した。自己尊大にふるまった。大家を大家として扱わなかった。金のある奴から金を毟り取るのは当り前だと考えた。

巻き舌で喋り捲り、漆黒の髪はオールバックにして、浅黒い顔に鷲鼻がでんと坐り、眼は底意地悪く三白眼で、狭い額は短気をあらわし、への字の唇は厚く、喋るたびに唾を飛ばし、涎を垂らしていた。〔…〕

自他共に認める変わり者であったが、本人が一番気に入らないのは、自分の顔への不満や衣食住の不足ではなく、文壇の時流に乗ろうとして乗り切れず、

猫額のような、鷲鼻のような、俗受けのしない貧乏と病苦と娼婦買いの話しか書くことのない自分の小説そのものであった。

――「第21章 忘れられた作家たち」

◎新・日本文壇史――第4巻・プロレタリア文学の人々|川西政明|岩波書店|ISBN9784000283649201011月|評=○

<キャッチコピー>

昭和8年、プロレタリア文学の輝ける星、小林多喜二は、殺人に等しい拷問をうけて、絶命した。虐殺であった。ロシア革命の影響などからプロレタリア文学が勃興、「蟹工船」「海に生くる人々」「太陽のない街」など今日に読みつがれる数多くの作品が生みだされた時代であった。プロレタリア文学とその周辺に生きた人々の実相に迫る。

<memo>

作家・西村賢太が個人的に全集を出そうとまで惚れた大正期の私小説作家・藤沢清造。その代表作『根津権現裏』が2011年、文庫化された。89年前の作品である。

西村賢太◎一私小説書きの弁

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コメント

この本はでたらめ。徳永直の「日本人サトウ」をまる写ししている。

投稿: | 2012.03.05 22:04

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