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2011.08.17

村上春樹◎村上春樹雑文集

20110817

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もしここに硬い大きな壁があり、そこにぶつかって割れる卵があったとしたら、私は常に卵の側に立ちます。〔…〕

ある場合には単純明快です。爆撃機や戦車やロケット弾や白燐弾や機関銃は、硬く大きな壁です。それらに潰され、焼かれ、貫かれる非武装市民は卵です。

それがこのメタファーのひとつの意味です。〔…〕

我々はみんな多かれ少なかれ、それぞれにひとつの卵なのだと。かけがえのないひとつの魂と、それをくるむ脆い殻を持った卵なのだと。私もそうだし、あなた方もそうです。

そして我々はみんな多かれ少なかれ、それぞれにとっての硬い大きな壁に直面しているのです。その壁は名前を持っています。それは「システム」と呼ばれています。

そのシステムは本来は我々を護るべきはずのものです。しかしあるときにはそれが独り立ちして我々を殺し、我々に人を殺させるのです。冷たく、効率よく、そしてシステマティックに。

──「壁と卵」-エルサレム賞・受賞のあいさつ

◎村上春樹雑文集│村上春樹│新潮社│ISBN9784103534273201101月│評価=○

<キャッチコピー>

インタビュー、受賞の挨拶、海外版への序文、音楽論、書評、人物論、結婚式の祝電--。初収録エッセイから未発表超短編小説まで満載の、著者初の「雑文集」!

<memo>

上掲は、次のように続く。

──私が小説を書く理由は、煎じ詰めればただひとつです。個人の魂の尊厳を浮かび上がらせ、そこに光を当てるためです。

我々の魂がシステムに絡め取られ、定められることのないように、常にそこに光を当て、警鐘を鳴らす、それこそが物語の役目です。私はそう信じています。

生と死の物語を書き、愛の物語を書き、人を泣かせ、人を怯えさせ、人を笑わせることによって、個々の魂のかけがえのなさを明らかにしようと試み続けること、それが小説家の仕事です。

そのために我々ほ日々真剣に虚構を作り続けているのです。

村上春樹●1Q84 book1

村上春樹●1Q84 book2

村上春樹●1Q84 book3

村上春樹●神の子どもたちはみな踊る

村上春樹★アンダーグラウンド

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