佐々木俊尚◎キュレ-ションの時代 ──「つながり」の情報革命が始まる
* 情報のノイズの海の中から、特定のコンテキストを付与することによって新たな情報を生み出すという存在。それがキュレーター。 あるアメリカ人のブロガーは「コンテンツが王だった時代は終わった。いまやキュレーションが王だ」と書きました。 一次情報を発信することよりも、その情報が持つ意味、その情報が持つ可能性、その情報が持つ「あなただけにとっての価値」、そういうコンテキストを付与できる存在の方が重要性を増してきているということなのです。〔…〕 キュレーション・ジャーナリズムという言葉も生まれてきています。一次情報を取材して書くという行為の価値はインターネット時代に入ってもなくなるわけではありません。 しかしそうした一次取材を行うジャーナリストと同じぐらいに、すでにある膨大な情報を仕分けして、 それらの情報が持つ意味を読者にわかりやすく提示できるジャーナリストの価値も高まってきているということなのです。 これは「情報」というものの価値を180度転回させる、画期的なパラダイムの転換なのです。キュレーションの時代が、私たちの前に開かれようとしているのです。 |
◎キュレ-ションの時代 ──「つながり」の情報革命が始まる│佐々木俊尚│筑摩書房│新書│ISBN:9784480065919│2011年02月│評価=○
<キャッチコピー>
テレビ、新聞、出版、広告-。マスコミが亡び、情報の常識は決定的に変わった。ツイッター、フェイスブック、フォースクエアなど、人と人の「つながり」を介して情報をやりとりする時代が来たのだ。いまやだれもが自ら情報を選んで、意味づけし、みんなと共有する「一億総キュレーション」の時代なのである。渾身の情報社会論。
<memo>
キュレーション【curation】無数の情報の海の中から、自分の価値観や世界観に基づいて情報を拾い上げ、そこに新たな意味を与え、そして多くの人と共有すること。
以下、「あとがき」から……。カタカナ8つの意味が分かりますか?
「世界の情報を流通させる巨大なソーシャルメディアプラットフォーム。その上に形成されていく無数の情報ビオトープ。それらのビオトープに接続し、視座を提供する無数のキュレーターたち。そしてそれらキュレーターにチェックインし、情報を受け取るフォロワーたち。グローバルなプラットフォームの上で、コンテンツやキュレーター、それに影響を受けるフォロワーなどが無数の小規模モジュールとなって存在する。その関係はつねに組み替えられ、新鮮な情報が外部からもたらされていく。そういう生態系の誕生。これが本書で述べてきた情報の未来のビジョンです」。
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