仲村清司◎本音で語る沖縄史
* その年[1871]の暮れ、宮古の貢納船が那覇からの帰路、台風で難破し、台湾の東岸に漂着した。 生存者66名は人家を求めて徘徊したが、いわゆる「生蕃」の領地に踏み込み、原住民に襲撃されて54名の首が切り落とされるという大事件が起こった。〔…〕 1873年の3月、全権を委任された外務卿の副島は清国に乗り込み、「日本国民が清国の領土内で殺害された」として、厳重な抗議を申し入れた。〔…〕 すると、清国は非を認めないどころか、「琉球人を殺害した台湾は我が国の政令の及ばない化外の土地である」と、責任を回避する答弁をよこしたのであった。 清国側の出方をさぐる目的で清国に出向いた副島にとって、このことは願ったり叶ったりの言質を引き出したことになる。 清国は琉球を日本国と認めたばかりか、台湾を自国外の土地としたからである。 |
◎本音で語る沖縄史│仲村清司│新潮社│ISBN:9784103243427│2011年06月│評価=◎おすすめ
<キャッチコピー>
日本や中国の脅威にさらされながら、独自の歴史を刻み続けた島々。神話から古代、琉球王国の統一と滅亡をたどりつつ、「被害者史観」の固定観念を突き崩す。
<memo>
あとがきにも触れられているが、菅直人首相が副総理だった当時、「基地問題はどうにもならない」「もう沖縄は独立した方がいい」と語っていた。尖閣諸島沖での中国漁船衝突問題での対応など失政連発の菅首相がやっと退いた。本書はあらためて沖縄を知るための戦前までの物語的沖縄史である。
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