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2011.09.15

岡本隆司◎中国「反日」の源流

20110915

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現代のわれわれが最も気になるのは、中国の「反日」である。だから、中国はなぜ「反日」になったか、という問いも発せられる。しかしこれは、問い自体がおかしい。

「反日」を文字どおりに解するなら、中国は史上ずっと反日であって、何かのきっかけで、あらためて「なった」わけではないからである。

遅くとも明代、日本を「倭寇」とみなしてからは、そうである。親日的な時期はあっても、それはごく短い例外にすぎない。

現在に直接つながる「反日」は、厳密にいえば、さかのぼって日露戦争の終わり、20世紀の初めにはじまったものである。しかしそれも、日清戦争の主因をなした従前の反日を前提条件にしなくては、成立しなかった。

社会構造およびその差異が、経済制度・政治権力の性質とそのちがいとなってあらわれ、それがさらに、対外姿勢とその齟齬をつくりだす。

そのそれぞれが、相互の理解不足をもたらし、歪んだイメージや誤解、矛盾をうみだし、対立を重ねて破局にいたる。その破局の結果がまた、あらたな対立の出発になる。

近代の日中関係と反日の源流を形づくつた歴史経過も、ほぼ以上につきている。

◎中国「反日」の源流│岡本隆司│講談社│ISBN9784062584906201101月│評価=○

<キャッチコピー>

「反日嫌中」の本質とはなにか? 中世以降の日本と中国の政治体制、社会構造の分析から、「反日」の源流をあぶりだし、問題の本質を明らかにする。

<memo>

史学の祖・司馬遷は、儒教の真理は抽象的な理論で述べるよりも、具体的な歴史事実に即して語ったほうが、よくわかる、と称して『史記』を著した。つまり中国の史学とは、儒教の教義を事例叙述に翻案したもの、したがってそこで描かれる歴史事実とは、イデオロギーの表明なのである。〔…〕日中関係の政治問題が、歴史認識という形態をとるのは、たがいにとって、歴史が自らの正義を一方的に表明する手段であるからにはかならない。「正しい」歴史認識というスローガンがすべてを物語っている。そこでは、相手の事情はいわずもがな、史上の日中関係すら、実際にあった事実から乖離して語られてきた。(本書「エピローグ」)

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