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2011.09.13

朴一◎僕たちのヒーローはみんな在日だった

20110913

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『在日』という出自が「精神的苦痛を受ける性質のもの」つまり「恥ずかしいものである」と裁判所で認定されてしまうことになると主張している。

おそらく、在日という出自を「精神的苦痛を受ける性質のもの」でも「恥ずかしいもの」でもないと認定される社会にしていかなくては、在日コリアンへの偏見や差別はなくならないというのが、山野氏の論旨であると思われる。

一見、こうした主張はもっともらしい考え方のように見える。〔…〕

とはいえ、すでに論じてきたように、在日コリアンという出自を負のイメージで捉えてきた日本社会の偏見や差別が完全になくなったわけではない。

こうした偏見や差別にさらされたくないという思いから、日本国籍を取得し、在日という生い立ちを隠して生きている人々に対し、出自を恥ずかしがる必要はないと言って、出自を暴くというのは、

差別をなくそうと言いながら差別に加担する、まさに本末転倒な行為であると言わざるを得ない。

◎僕たちのヒーローはみんな在日だった│朴一│講談社│ISBN9784062168854201105月│評価=△

<キャッチコピー>

在日コリアン3世、舌鋒鋭い論客・朴一が、戦後復興期の英雄・力道山からアジアカップ優勝を決めたストライカー・李忠成まで、隣の国からやってきた日本の興行界の花形スターたちの生き様、パワーの源、知られざる苦悩を赤裸々に描くー。

<memo>

山野車輪『マンガ嫌韓流』は、ある事件の容疑者を日本に帰化する前は在日コリアンだったと暴露したことで名誉毀損で訴えられた。出自や民族名を明らかにした正当性の主張の一つとして「『帰化以前の身分の記載はプライバシー侵害である』という主張が認められたりすれば、それは『在日』という身分は公開された場合に精神的苦痛を受ける性質のものであるということ、……つまり『在日』という身分は『恥ずかしい』ものであるということが、裁判所で認められた上、判例となってしまう」と山野氏はマンガの中で反論する。上掲は、それに対する批判。しかし本末転倒の行為が本書自体に当てはまる気がしないでもない。

 

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姜尚中■ 在日

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