中原昌也◎死んでも何も残さない──中原昌也自伝
* 誤解されてばかりだが、僕は自分探しをしているわけではない。 自分で思っているのは、何かよくわからない器の上に目ん玉があって、中に何が入っているか自分でもよくわからないし、何となく外を見ているだけ、ということだ。自分の中身など一生見えない。だから、自分探しなど何の意味もない。〔…〕 何もできないし、本当に不器用で、何でもない。小説も全然才能ない。 どう読まれているとしても、すべてわからないし、過去のことだ。自信も何もない。 一応名前とかいっぱい出ているけれど、元は何だったのか、いつもよくわからない。何してるんだよ、といつも思う。とにかく、もう参ってしまった。 何の救いもない。 まだ四十なのに、何の未来もない。 ろくな話じゃない。 |
◎死んでも何も残さない──中原昌也自伝│中原昌也│新潮社│ISBN:9784104472031│2011年03月│評価=△
<キャッチコピー>
こんな四十にだけはなりたくなかった! 21世紀の『人間失格』が今、降臨。もはや生きる伝説となった最後の無頼派作家/ミュージシャンの魂の軌跡全告白。
<memo>
「本書は著者の談話を編集部が構成したものである」と巻末にある。作家が自伝を、書かずに語って本にする。作家の自滅行為。作家業リタイア。それでいいのだ、としか言いようがない。
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