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2011.10.07

発掘本・再会本100選★内澤旬子│世界屠畜紀行

20111007

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さて、次に向かったのは大学の実験牧場である。

「こんにちは。さっきまで人工授精してて、頭っから牛のウンコまみれになってたの。あわてて着替えだけしてきたんだけど、シャワー浴びてないのよ。匂ったらごめんなさいねー」

と、とてつもない早口でまくし立てながら、妙齢の美女が登場。〔…〕

「私、牛や豚が好きで好きで離れたくないから、ここで寝泊りしてるのよ」

なんて、牧場の隣の建物を指差して言う。ええー。こんな(失礼!)なにもないところで暮らしてるの。〔…〕

「牛も豚も、私たちのいい友達よ。とってもかわいい。でも殺すんだけどね。

ステーキがおいしいんだからしょうがないのよ」

と、けろりと言う。

実は牛舎と豚舎を見せてもらう間に、アマンダは何回も「Kill」を連発。「この子たち、かわいいでしょ、でも殺すのよ」という具合。

──第16章 アメリカ──資本主義と牛肉

◎世界屠畜紀行│内澤旬子│解放出版社│ISBN9784759251333200702月/文庫版:角川書店│ISBN9784043943951201105月│評価=◎おすすめ

<キャッチコピー>

「食べるために動物を殺すことを可哀相と思ったり、屠畜に従事する人を残酷と感じる文化は、日本だけなの?」屠畜という営みへの情熱を胸に、海外数カ国を回り、屠畜現場をスケッチ!「動物が肉になるまで」の工程を緻密なイラストで描く。

201110073

<memo>

上掲は、アメリカ・テキサステック大学での一場面。「kill room」と表示してあるドアの前で、外の人には「ハーベスト(harvest・収穫)ルームです」と言うという。   

かねてから読みたいと思っていた本書。文庫版が出たので買おうとしたが、イラストの文字が小さくて読めない。もとの四六版を古書店で手に入れた。韓国、バリ島、エジプト、チェコ、モンゴル、インド、アメリカ、沖縄、東京……、屠畜の現場を明るくリアルな文章とイラストでルポしたもの。

文庫版あとがきで「屠畜という営みの持つ深みと凄みと痛み」を伝えたいと続編刊行を予告している。差別の問題をいかに深化させているか楽しみ。

内澤旬子◎おやじがき──絶滅危惧種中年男性圖鑑

内澤旬子◎センセイの書斎 ──イラストルポ「本」のある仕事場

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