東海林さだお◎微視的お宝鑑定団
* 服飾の中で、外から見て一番目立たないのがベルトである。仕事も非常に地味で、ひたすら裏方に徹している。 ズボンを人体から落下させない、ただそれだけが仕事である。〔…〕 力仕事といえば力仕事といえる。 才能とか特技とかは必要とせず、一日中、ただひたすら胴のところをしめあげていればいい。 面白味というものはほとんどない。 胴のところに一日中しがみついているというのは、考えようによっては辛い仕事である。 もしですよ、あなたに一日中木にしがみついていなさいという仕事が来たらどうします? ──「微視的(ちまちま)生活入門 其の四 ベルトの穴に隠された謎」 |
◎微視的お宝鑑定団│東海林さだお│文藝春秋│ISBN:9784163719306│2009年10月│評価=△
<キャッチコピー>
物事を巨視的に見る時代は終った。生活の狭小なところに興味を持ち、そこに喜びを見出そう。まず君のパンツの値段はいくらか?
<memo>
(上掲のベルトの続き……)
ひとつ質問しますが、ベルトの穴はいくつあるか知っていますか。
そんな! 適当にいくつかプツンプツンと業者が開けてるんだろ、と思ったでしょう。
違うんです、決まってるんです、奇数、ということで決まってるんです。
このことは日本の服飾界の権威、出石尚三氏が自著の中で明言しています。
ベルトの穴は、三つか五つか七つであると。
そしてですね、いいですか。
「ベルトは原則としてまん中の穴で留めることになっているのです」と。
なぜか。
「まん中の穴に留めることによって全体の美しいバランスが保たれるからなのです」
東海林さだお■ ショージ君のALWAYS - 東海林さだおが昭和を懐かしむ |
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