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2015.10.18

◎09旅ゆけば│T版 2015年8月~10月

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★最相葉月『ナグネ――中国朝鮮族の友と日本』

クリスチャンは旅人(ナグネ)だと恩恵はいう。自分の本当の家は天国にあり、この世は通過点にすぎない、だからこの世に未練はありませんという。

そんな言葉を聞くと、私は切なくなる。しかし、恩恵の旅の途中で、ほんの一瞬、心を通わせた人間の一人として認めてくれるなら、私は嬉しい。

★最相葉月『ナグネ――中国朝鮮族の友と日本』

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 1999年、西武新宿線の駅のホームで偶然知り合った中国人の女性と著者との16年間にわたる交友を描いたもの。

中国における朝鮮族や地下教会でのクリスチャンの信仰もさることながら、黒龍江省ハルビン市出身の朝鮮族である彼女の過酷な日々と大陸系らしいエネルギッシュに生きる姿が目を見張る。

彼女を支援する著者の言動もすがすがしい。

 

★森山伸也『北緯66.6°』

「北極圏トレイル800キロ」とか、「サーレク核心部縦走」などといかにも野心むき出しで気張っているニッポン人は、ここでは完全に浮いていた。

ラップランドにやってくる北欧人の目的は「山歩き」ではなかった。結果的に山を歩いているだけで、ただただ極北の短い夏を楽しみにやってきているのだった。

★森山伸也『北緯66.6°』△2014

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 北欧三国にまたがるラップランド800キロを歩くぞと出かけ、地図が手に入らなかった、足にまめができたと距離を大幅短縮。

もしも食料が不足、ボートが転覆、爆弾低気圧、崖に囲まれて云々と、勝手に自分の「不安」という想像力に負ける何とも情けない“冒険”。

しかし著者は「人生は決断の繰り返し」と開き直る。

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 ヘリコプターでピックアップしてもらう現地のカップルの話がでてきたところで、著者もリタイアするなと気づく。“ビールをぐびぐび”という表現が何度もでてきてうんざり。文体は高野秀行の真似か。地名が現地のノルウェー語、スウェーデン語で表記、カタカナで書けない編集者の怠慢。連日の猛暑でせめて涼しい本をと手にしたが、イライラがつのっただけ。

 

★石田千『唄めぐり』

こころに、唄を抱く。そのときに湧く土地への誇りが、天災や戦のなかもひとを支えた。旅のあいだは、いつも八百万のいのちと縁に呼ばれて歩いている気がした。

ひとの声は風になり、波になり、光となった。全身に浴びた。

★石田千『唄めぐり』〇2015

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石田千『唄めぐり』は、北の「江差追分」から南の「安里屋ゆんた」まで唄とその歌い手たちを訪ね、その地で歌を聴き地酒を飲んだ紀行エッセイ。

「雪の細道舟下り」という章で「最上川舟唄」。なんと舟唄に山背が歌われていた。山背風だよ あきらめしゃんせヨイトヨラサノセーおれをうらむな風うらめ。

付録にCDがついていればよかったのに。

 

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