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2016.04.07

峠恵子■冒険歌手――珍・世界最悪の旅

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出航以来、今日までの毎日は、一日として同じ日のないスリリングな日々だった。

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「危機一髪」も、乗り越えてしまえば、貴重な体験となって記憶に残る。「危険」も向き合ってしまえば、自分との最高の闘いだった。

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「不便」も慣れてしまえば、労働という素晴らしい喜びだった。

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このまま都会に戻り、あの必要以上に便利な生活に慣れてしまえば、自分が本来持っている底力、腕力、脚力、体力、忍耐力も使えずじまいになり、五感と向き合うことも、また空や雲や風や星などと「当たり前に対話することも忘れてしまうのか。

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すべては一瞬の幻だったと、全部忘れ去ってしまうのか。嫌だ!そんなの絶対に嫌っー‼

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■冒険歌手――珍・世界最悪の旅│峠恵子│山と渓谷社│ISBN9784635886246 201510月│評価=○

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 本書は『ニューギニア水平垂直航海記』(20047月・小学館文庫)の増補改題版である。

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「日本ニューギニア探検隊隊員募集」という雑誌記事を見かけ、「ヨットも、ロッククライミングも、登山も、まったくのド素人」しかし、「遺書を書いて参加します」。

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この何とかならなかったのかと思う最低なタイトル(「冒険歌手――珍・世界最悪の旅」、「ニューギニア水平垂直航海記」)では、いかなる冒険であったかは、イメージできない。

それは、「ヨットで太平洋を渡り、ニューギニア島を目指し、ゴムボートでニューギア島の大河・マンベラモを遡上、オセアニア最高峰カルステンツ・ピラミッド(4884m)北壁の新ルートを世界で初めてロッククライミングで開拓する」というもの。

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ところが、ニューギニアにはたどり着いたものの(4名のうち元自衛隊員コーちゃん脱落)、カルステンツ登頂の許可が下りず、オセアニア第2の山トリコラ(4750m)北壁初登攀をしたものの(ここで早大探検部ユースケくん帰国)、これ以降は隊長藤原一孝と著者の二人で、腹にカンガルーのような袋のある幻の犬タスマニアン・タイガーを探したり、旧日本兵の遺骨の捜査など行き当たりばったりの冒険行。

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探検はガイドやポーターたちの嘘、たかり、盗み、また地元役人の賄賂に悩まされ、さらに蚊、ゴキブリ、ノミ、ダニに襲われ、同行仲間内の相互不信、女性である著者の大小排泄物の始末にと、まことに露骨というか率直な日々が綴られる。

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 あの高野秀行が「奇書中の奇書」と褒め、参加者のユースケがあの角幡唯介であり、この増補版では、その二人が解説や対談に登場するとなると、本書をスルーするわけにはいかない。

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コメント

人等级一上去,就容易缺经验。
助情香水 https://www.sesexy.com/prolist.50.html

投稿: 助情香水 | 2016.04.12 18:55

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