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2016.12.04

西秋生■ハイカラ神戸幻視行

20161204

 

 (大倉山)の麓にある中央図書館は、日本探偵小説の源流の一つである。

 大正10年(1921)落成直後にここで開催された講演会で、当時の高名な評論家・馬場孤蝶が海外の探偵小説の動向を紹介したのを

聴いた江戸川乱歩が刺激を受け、デビュー作「二銭銅貨」を執筆するに至ったのである。

  の講演会には地元の横溝正史も来ていたが、その時には面識がなく、お互いそれとは知らなかった。

 

 ハイカラ神戸幻視行――紀行篇 夢の名残り|西秋生|神戸新聞総合出版センター|20169|ISBN: 9784343009135|

   上掲にあるように神戸市立図書館が大倉山の現在地に移転したのは1921年である(現在の建物は1981年)。乱歩が馬場孤蝶に書き上げた「二銭銅貨」の原稿を送ったのは知っていたが、神戸市立図書館での講演会がきっかけだとは知らなかった。

  JR神戸駅から楠公さんの東側の銀杏並木の道を北へ、大倉山公園の近くの職場に2年通ったことがある。大倉山の由来は知っていても、そこに伊藤博文の銅像が撤去後の台座部分が残されているとは気づかなかった。それが国会議事堂の中央、天に突き出した屋根の部分とそっくりだという。見に行かなくては……。

 本書は、上掲のような神戸という街の戦前、70~90年前の姿を、谷崎潤一郎、稲垣足穂など多くの文人の文章を引用しながら紹介する。

だが街歩きのガイドブックにしては、序章・夢の街へ、街の夢を訪ねて、第1章・世界一美しい“異国”元居留地、などタイトルが示すようにペダンチックである。そしてやや上から目線を気にしなければ、まことに好読物である。

  凝った装丁なのに、著者撮影の写真が難。神戸新聞連載時に写真部員が写していたらと、惜しまれる。なお『ハイカラ神戸幻視行――コスモポリタンと美少女の都へ』という前著もあるらしい。

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