清武英利★サラリーマン球団社長 …………オーナーに翻弄されながら、監督、選手のために改革に取り組む
彼らは組織のなかで働きながら、二つのことを証明した。
一つは、どん底の会社や組織をひっくり返すような改革は、主流の人々よりも異端者や、冒険心に溢れた傍流の者によって成し遂げられることが多いということである。本社や上司にこびない意地を備えているからだろう。
そして、彼らが示したもう一つは、たとえ素人であっても、頑固な情熱があれば理想球団の夢が描けるということだ。
清武英利★サラリーマン球団社長 2020.08/文藝春秋
野崎勝義――阪神電気鉄道株式会社の旅行マンから、子会社の「阪神タイガース」に出向を命じられた男。「タイガースはたいしたことない、強い弱いと騒がんでもええ」という久万俊二郎オーナーに翻弄されながら、野村監督、星野監督たちと旧弊の改革に取り組む。
鈴木清明――東洋工業株式会社(現・マツダ) の幹部候補生たったのに辞表を提出し、「広島東洋カープ」に身を投じた男。松田元オーナーの思いつきのアイデアに翻弄されながら、黒田、新井たちと生え抜き選手中心の改革に取り組む。
著名な経営者の野球に関係のない“格言”を盛り込んだのは、無用。
元読売ジャイアンツの球団代表、ゼネラルマネージャーとしてプロ野球の内側を知り尽くしている著者が描く球団経営の実態。阪神、広島の裏面史として出色のおもしろさ。
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