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2020.12.17

03/芸というもの◆T版2020年…………◎村岡恵理・ラストダンスは私に―岩谷時子物語◎柳家小三治・どこからお話ししましょうか◎毛利義孝・バンクシー◎村田喜代子・偏愛ムラタ美術館展開篇

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03/芸というもの
村岡恵理★ラストダンスは私に――岩谷時子 物語 2019.07/光文社

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  1977(昭和52年)9月のロングリサイタルは、30回記念と銘打たれた。
 老いた女の悲哀を見事に演じ切った越路を、大喝采が包み込んだ。汗ばんだ褐色の肌がライトで輝いている。客席のあちらこちらから、すすり泣きが聞こえた。

 上手い歌手や綺麗な女優なら他にいくらでもいるが、越路〔吹雪〕はその個性において唯一無二の存在だった。53歳に至り、人生の苦味を知り、歌にもある種の凄みがかかっていた。

 しかし、観客は気づいていなくとも、時子にだけは疲れやほころびが見える。痛々しさに胸がしめつけられた。
人生は過ぎゆく…… 。

 願わくは、老醜をさらすことなく、華々しい印象のまま、美しい余韻を残して、彼女らしく、惜しまれて、引退させたい。そして、健康で豊かな余生を送ってほしい。あと5年か、いや3年-――。引き際をどう見極め、演出するか-――。還暦を越えた時子に、マネージャーとしての最大の課題が残されていた。

 


03/芸というもの 
柳家小三治★どこからお話ししましょうか――柳家小三治自伝 2019.12/岩波書店 

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 小沢(昭一)さんは「噺家になりたかった役者」、私は「役者になりたかった噺家」。

 まったくそうですねえ。小沢さんはそのころの落語界を見て、あんまりにもすごい人やえらい人がたくさんいるので、とても太刀打ちできねえと思って噺家にはならず、新劇の世界に入ったと聞いています。

 私はそこまでまだものの見定め方がわからないんで、ただまっすぐ飛び込んじゃったんでしょう。

 

03/芸というもの
毛利義孝 ■バンクシー――アート・テロリスト 2019.12/光文社

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 ロンドンやニューヨークの例を挙げるまでもなく、グラフィティが蔓延している都市ほど、クリエイティヴで民主的で先進的のように見えます。

 逆に、権威主義的権力が強力な国ほど都市は落書きが少なく、整然としているという事実は否定できません。〔…〕

 整然とした秩序を快楽として享受するのは、そもそも支配・管理する側の視線です。
*
 NHK「世界ふれあい街歩き」をみていると、各国の世界遺産の街は例外なく落書きの街でもある。日本は世界遺産の地に、まず落書きがなく、密かに誇っていた。本書を読めば、とんでもない勘違いだったと気づく。

 欧米は都市景観の規制によって調和が保たれ、日本では建築物の持ち主が風景を専有する。私的財産の侵害を禁止するか、表現の自由を優先するか。バンクシーのストリート・アートは色々考えさせてくれる。

 

 
03/芸というもの
村田喜代子★偏愛ムラタ美術館展開篇 2020.10徳間書店

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 福田豊四郎『落下傘』も日本画である。斬新で無類に明るい。真っ青な空だ。そこに次々とひらく白い花のような落下傘。洋画家が、群像や戦闘やリアリティやと近代技法と組み合っているとき、小早川秋聲や福田豊四郎は独創でいった。


 絵は語ることをしない。
 画家は一心に技量を投じるのみだ。
 その力を抜くと、つまり、戦争賛美になるのではないか。


――「こんな絵があった。たどり直す戦争画」
*
「偏愛」シリーズの3冊目。
累々と積み重なった「死」戦争画である藤田嗣治「アッツ島玉砕」。

「この絵は戦争協力の戦意高揚画というより、無惨絵だろう」と著者。

 この絵を始め戦争画を京都で「生誕120年藤田嗣治展」のとき見たが、なぜそれが「戦争協力者」と非難されるのか理解できなかった。

 このほか宮本三郎「本間、ウエンライト会見図」、向井順吉「マユ山壁を衝く」、福田豊四郎「落下傘」を紹介する「こんな絵があった。――たどり直す戦争画――」の章。

 当方がもっとも興味があったのは、長沢芦雪。「群猿図屏風」、「大仏殿炎上図」、「捕鯨図」、「牛図」、大胆で迫力ある構図に息をのんだ。

 

 

 

 

 

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