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2020.12.20

08/メディア的日常◆T版2020年…………◎磯田通史・歴史とは靴である◎尾原和啓・アルゴリズム フェアネス◎大澤昇平・AI救国論◎丹羽美之・日本のテレビ・ドキュメンタリー

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08/メディア的日常

磯田通史★歴史とは靴である――17歳の特別教室  2020.01/講談社

 

好き嫌いで論じられるものは嗜好品です。酒やタバコと同じです。

はたして歴史学は、好きか嫌いかで選べるものでしょうか。

どうもちがう気がします。

歴史的にものを考えると、前より安全に世のなかが歩けます。

歴史はむしろ実用品であって、靴に近いものではないか。

ぼくはそんなふうに考えます。

*

 鎌倉女学院高等学校において、2019年6月におこなわれた特別授業の内容を元に再構成したもの。以下、……。

 

  年号とはつまり「時間に名前をつけたもの」です。

 日本史の教科書とは、「標準的な日本人」になるための道具立てであり、日本という国の「平均値」で書かれているのです。

 教養とはなにかということを、ぼくはよく考えるのです。「教養」にはいろいろな定義があると思いますが、「ムダの積み重ね」じゃないでしょうか。「年季の入ったムダ」と言ってもいい。

 一回覚えて忘れた状態を教養という、最初から触れたことがない人間とでは雲泥のちがい……と内田百閒は言いました。

 新聞の記事を見ると、よく神への信仰をめぐって宗教戦争が起きていたり、国のために死んでいくとか、おカネをもとに殺人事件が起きていたりします。

 カミ、クニ、カネの「3K」は、犬・猫にはまったく通用しないのに、なぜか人間はそれをつくりだす。しかも、それに酔い、人殺しまですることがあります。この「3K」は実体はありません。シンボルです。

 他の生きものとちがって、シンボルに夢中になれる脳構造をもった者がそれを考えているうちに、いつしか人びとのつながりが変化し、世のなかは新しく進歩したり、不幸な大殺戮が起きたりしています。

 

 

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08/メディア的日常 

尾原和啓★アルゴリズム フェアネス――もっと自由に生きるために、ぼくたちが知るべきこと  2020.01/KADOKAWA

 

 私たちは〔GAFAなどの〕プラットフォームによって出会いの自由を謳歌しているようですが、じつはその権利を保証してもらうために、個人データという“税金”を徴収されているのです。

 この権力は、人々の自由度と直結するだけに、まさに国家権力に匹敵するといってもよいかもしれません。

*

 キツネは、美味しそうな葡萄を見つけるが、手の届かない高みにあるので、酸っぱく不味いだろうと悪態をつく。GAFAを非難する論調に著者はこのイソップ童話を例にあげる。GAFAは北風でなく太陽だとしたうえでフェアネス(公平公正)の追求が重要と解く。

 

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08/メディア的日常

大澤昇平★AI救国論 2019.09/新潮社

 

 文系・理系によらず、水平思考を身につけることで、イノベーションを起こすような提案をすることができる。

 世界で最初の熊蜂が飛行に成功する種へと進化し、今の時代にまで子孫を残すことができた要因は、

自然の淘汰圧に負けないためのハングリー精神と、体重の重さという自身の制約を克服するために

「王道でない手段も思い切って試してみる」という愚者の思考に他ならない。

 これはスティーブ・ジョブズによる「Stay hungry, stay foolish.」という標語にも集約されている。ジョブズは他にも「Connecting the dots」(点と点を繋げ)という言葉も残している。これはまさにイノベーションの必要条件そのものである。

*

 本書は最初に「大学受験のジレンマ」と、それに伴って起こっている諸問題を指摘し、水平思考、AI2・0といったテクノロジーを役立てるための思考の枠組みについて説明、最後に文理融合について提言する。

 日本再生のためには、文理融合型のテクノロジー教育が必要であるというのが、本書を通した主張である。

 

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08/メディア的日常

丹羽美之★日本のテレビ・ドキュメンタリー 2020.06/東京大学出版会

 ラジオが発災直後に被災地の情報源として高く評価されたとすれば、テレビはむしろ災害が一段落してから、ドキュメンタリー番組に代表される持続的報道や調査報道で大きな力を発揮したように思われる。

 一般的に、ニュースの記者は事件や事故が収束するとすぐに次の現場に向かう。しかしそこには必ず「忘れ物」が落ちている。

ドキュメンタリー番組とは、そうしたニュースの「忘れ物」を拾い集める営みということができる。

 東日本大震災でも、ニュースからこぼれ落ちてしまうような様々な視点やテーマのドキュメンタリー番組が数多く作られた。それらの番組を改めて見直すことは、テレビ・ジャーナリズムの多様性を示すと同時に、忘れられた大震災の記憶を掘り起こすことにもつながるだろう。

*

 過去のテレビ番組を大規模に収集.・保存・公開するアーカイブの整備もはじまりつつある。テレビがいよいよ歴史の対象になりはじめているのだ。〔…〕テレビとは何だったのかを問う作業はようやくはじまったばかりなのだ。(本書)

 

 

 

 

 

 

 

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