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2021.06.13

03/芸というもの◆T版2021…………◎ラリー遠田・お笑い世代論◎高田文夫・松岡昇・和田尚久・佐野文二郎・ギャグ語辞典◎忌野清志郎ほか・自転車に乗って 

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202104

 

03/芸というもの
ラリー遠田◆お笑い世代論 ドリフから霜降り明星まで 

2021.4/光文社

 

彼ら〔第2世代のたけし、さんま〕は80年代の漫才ブームや、そこから始まったフジテレビバラエティの黄金時代を経て、テレビというメディアに最適化されたテレビ芸を確立させた。

彼らが作ったバラエティ番組の「型」は、その後も形を変えて、世代を超えて、ずっと生き続けている。


だから、彼ら自身も、そうした型と共に生き残っているのだ。

*
 “お笑い評論”のトップランナーの新著。無双というか、唯一無二というか、この人のタレント評にはいつも目から鱗。


*
「勝手に『第七世代』みたいなのつけて、僕ら20代だけで固まってもええんちゃうかな」という霜降り明星せいやの一言で始まった“お笑い第七世代”ブーム。著者は見事に世代論をまとめた。以下、……。


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第一世代のザ・ドリフターズや萩本欽一は、テレビという新しいメディアに合わせた「テレビ芸」を発明して、一時代を築いた。

第二世代のビートたけしや明石家さんまは、「プロの芸人があえて素人のように振る舞う」という斬新な手法を編み出した。プロの技術を駆使して本気でふざけることが、テレビ的な笑いであると考えたのだ。

第三世代のとんねるずやダウンタウンは、師弟制度から解放された最初の世代として、強力なリーダーシップを発揮して、テレビを自分たちの遊び場にした。

第四世代・第五世代のナインティナインやロンドンブーツ1号2号は、スタッフ主導型のバラエティ番組が増えてきた時代にいち早く適応して、同世代のトップランナーとなった。

第六世代のキングコングやオリエンタルラジオは、テレビの世界に真正面から向き合い、大きな挫折を経験した後、テレビとは別の場所に力強く踏み出していった。

そして、第七世代の芸人にとっては、もはや地上波テレビは数ある選択肢の1つに過ぎなくなり、芸人の生き方も価値観も多様化していることが当たり前になった。

 

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03/芸というもの
高田文夫・松岡昇・和田尚久・佐野文二郎◆ギャグ語辞典 ギャグにまつわる言葉をイラストと豆知識でアイーンと読み解く 
2021.2/誠文堂新光社

 

やっぱりオンタイムのその空気感の中でしか笑えないっていうのはあるよね。
だから面白いんだよな。生き物なんだよ、笑いっていうのは。


言葉と一緒で。そのためにも今こういう本で残すのか大事ってことだよ!
書き残しておく事が文化なんだよ。(高田文夫)

 

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これは便利な、貴重なお笑い芸人辞典。ちなみに、……。


第1世代……ザ・ドリフターズ、コント55号
第2世代……タモリ、ビートたけし、明石家さんま、笑福亭鶴瓶
第3世代……とんねるず、ダウンタウン、ウッチャンナンチャン
3.5(ボキャブラ)世代……爆笑問題、ネプチューン、くりいむしちゅー
第4世代……雨上がり決死隊、キャイ~ン、ナインティナイン、ロンドンブーツ1号2号
第5世代……中川家、ヒロシ、アンジャッシュ、ブラックマヨネーズ、サンドウイッチマン、バカリズム、タカアンドトシ
第6世代……ナイツ、オードリー、千鳥
第7世代……EXIT、ハナコ、ゆりやんレトリィバァ、宮下草薙、かが屋、霜降り明星、フワちゃん、四千頭身

 

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03/芸というもの
自転車に乗って アウトドアと文藝 
2020.12/河出書房新社

 

自転車はブルースだ。
クルマや観光バスではわからない、走る道すべてにブルースがあふれている。

楽しくて、つらくて、かっこいい、憂うつで陽気で踊り出したくなるようなリズム。


子供にはわからない本物の音楽、ブルースにはすべての可能性がふくまれている。


自転車はブルースだ。底ぬけに明るく目的地まで運んでくれるぜ。

 

『サイクリング・ブルース』より忌野清志郎

 

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自転車にまつわる27人のエッセイ、小説、詩、漫画のアンソロジー。


三浦しをん・群ようこ・夏目漱石・萩原朔太郎・小川未明・角田光代・忌野清志郎・押川春浪・織田作之助・北杜夫・江戸川乱歩・吉行淳之介・金子みすゞ・柴田元幸・伊藤礼・真鍋博・中井久夫・宮沢賢治・羽田圭介・藤崎彩織・半村良・山松ゆうきち・北川悦吏子・志賀直哉・吉本隆明・久世光彦・益田ミリ。


よくぞ集めたり、この多彩な顔ぶれ。

 

 

 

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