三浦英之◆災害特派員 …………若手記者やジャーナリスト志望の学生に贈る「ジャーナリズムとは何か」
渡辺龍に捧ぐ――巻頭にはそんな一文を掲げたが、それは津波が押し寄せてくるなかでシャッターを切り続けた伝説的な報道カメラマンの固有名詞であり、同時に比喩でもある。
かつてあの被災地には泣きながら現場を這いずり回った数十、数百の「災害特派員」がいた。
悲惨な現場を目撃し、名も無き人々の物語を必死に書き残そうとした無数の「渡辺龍」たちと、今後ジャーナリズムの現場に飛び込もうと考えているまだ見ぬ「渡辺龍」たちに、この小さな手記を贈りたい。
◆災害特派員 三浦英之 /2021.02/朝日新聞出版
著者のノンフィクションは全作品を読んでいるが、これは朝日新聞記者としての「個人」を強く表面に出した“手記”である。
3.11発生翌日に被災地に入り、その後宮城県南三陸町に駐在員として赴任し、約1年現地の人々と生活を共にした。その“私生活”を回想したもの。著者独特の“新聞記者”としての仕事、その生身の日々を、あらためて驚きをもって読んだ。
その後、アメリカ留学で学んだ「ジャーナリズムとは何か」を含め、これらの理論と被災地での実践は、若手記者や将来ジャーナリズムの世界に飛び込もうと考えている学生たちの必読書である。
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